肩関節の痛みについて

肩関節の痛みについて


  はじめまして、20203月より東和クリニック古北院にて勤務しております、山川晃と申します。私は医師になった07年より聖路加国際病院や船橋整形外科病院で研鑽を積み、運動器疾患を専門とする整形外科専門医として勤務してまいりました。これからは、上海の皆様の健康増進に貢献できたらと思っております。以後、よろしくお願い申し上げます。

  今回は、肩の痛みを引き起こす病気の中で、肩関節周囲炎(五十肩)に関してお話しします。

  肩関節周囲炎は4060歳代の発症が多いですが、近年はデスクワークやスマートフォンの長時間の使用など、生活環境の変化に伴う日頃の運動不足や姿勢不良により、30歳代で発症する人も見受けられます。

  発症の主な原因は、加齢による胸郭および筋の柔軟性の低下や、肩関節を構成する組織が老化した状態において、些細な日常動作により肩関節周囲組織に炎症が起きるためと考えられています。その結果、組織の癒着や疼痛に対する生体の防御反応として、肩関節が動かないように肩関節の周囲筋が緊張を起こし、肩関節の動き(可動域)が悪くなります。

  肩関節周囲炎の外来治療は、大きく炎症期と拘縮期の2つの時期に分けて行われます。安静時や夜間でも痛む時期(炎症期)には、基本的に消炎鎮痛剤の内服や、注射を打ち、痛みや炎症を抑えます。炎症が落ち着くと、肩周辺の組織が固まってくる時期(拘縮期)に移ります。この時期から積極的な理学療法(リハビリ)を開始します。

  本症の予防には、胸郭の柔軟性や肩甲骨の可動性を日頃から維持していくことが大事です。受診の際には、自宅で行えるエクササイズの指導もしてもらいましょう。

  肩関節の痛みには、今回お話ししました肩関節周囲炎の他にも、石灰沈着性腱板炎、肩腱板断裂などがあります。肩の症状でお悩みの方は、早期の病院での受診をおすすめします。